ひろゆきのインタビューを読んだ

「2ちゃんねる」と「ニコニコ動画」のひろゆき氏が語る,ゲーム・コミュニティ・文化 / 4Gamer.net
かなり長いですが、ゲームの話を織り交ぜつつ、2ちゃんやニコ動の話題へと振っています。

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 うーんと,先ほどの驚きをそのままぶつけてみるわけですが,赤の他人と出会える場としての「2ちゃんねる」に対する関心と,「赤の他人と話してもしょうがない」という考えは,どのようにつながるんでしょうか?

ひろゆき氏:
 人間に興味があるんじゃなくて,どちらかというと知識に興味があるんですよね。「この話をしたい」とか「こういう情報を知りたい」とか,目的は人間じゃなくてあくまで情報なんです。情報のやりとりをする場として「2ちゃんねる」を作っているので。「いま発言しているこの人が,本業としては何をしているか」なんていう,「この人に関する情報」には興味がない。だから,それを削ぎ落とした形になってるんですよ。

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 そういった意味で,「2ちゃんねる」は,純粋な情報交換ができる場として価値があると。

ひろゆき氏:
 そしてその場合,肩書きは邪魔になります,例えば僕が言っちゃうと,もう正しいんだと思い込んじゃう人って,やっぱりいるんですよね。「私は大学教授です」って書いちゃえば,「大学教授が書いているんだから正しいだろ」って信じてしまう人がいるけれども,それと情報の信頼性は本来違うはずです。
 匿名でいながら説得力のある人って,結局情報ソースを持っていたりとか,合理的に結論を導いていたりとか,誰が見ても納得できる理由を持っているわけです。情報としてはそっちのほうが信頼性が高くなるんじゃないのかなと思っているんですけど。

2ちゃんは情報収集を目的とした場で、その際誰が書き込んだかという肩書きは邪魔になる。故に匿名であると。あと、コテハンが幅を利かせ始めると、その板が廃れるという現象は面白いかも。

ひろゆき氏:
 設立のとき一緒に作ったんで。ドワンゴ未来検索ブラジルって会社で作ったのがニワンゴで,3年前くらい。
 掲示板やっているのもそうですけど,僕は観察するのが好きなんですよ。ところが携帯電話って,サービスを提供します,サービスを使う人ですっていうのが,完全に分かれていて,使う人が面白いものを創る文化っていうのが,そんなにないんですよね。
 最近ようやくケータイ小説みたいのが出てきて,割とありなんじゃないかとは思っているんですけど,それもやっぱりブログと一緒で,書いてくださいってツールを提供して,そこでやるっていうだけ。予想外の使い方をしたりするとか,新しいものを作ってくるユーザーっていうのが出てこないんですよね。

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 ああ。そこは仕組みとして見ると,そのとおりですね。

ひろゆき氏:
 それはあんまり面白くないなと思っていたところに,ドワンゴで「動画みたいのを今度やるんだよね」という話が上がって,それは面白いんじゃないかなと。結局動画をアップロードするツールでしかないんですけど,その動画ってもの自体,コンテンツをユーザーがどう作っていくかで,面白い部分を含んでいる。
 ケータイ小説とかだと一人で作れたし,YouTubeもだいたい一人で作品を作ってる。それに対してニコニコ動画の場合,人が作ったものを勝手に変えるのもアリだよね,という文化圏なんですよ。ケータイ小説YouTubeも,それはあんまりないんですけど。
 例えば他人が作った動画で勝手に悪ノリしてみましたとか,絵を付けてみましたとか,音声つけてみましたとか。著作権法上あり得ないことなんですけど,ニコニコ動画内に,当然のことだよね,文句言うのがおかしいよね,という文化圏を作ってしまうと,割と予想外のものがどんどん出来上がるっていうのが,見ていて面白いです。

ニコ動はユーザ同士でコンテンツやコミュニティを作り上げていく、一種の同人文化のようなものを作る場と考えているのでしょうか。その割には、ニコ動も最初の頃はYouTubeにコメントを貼れるだけのシステムだった気が……。コメントのアイデアに関する話は出てこないですね。

ひろゆき氏:
 YouTubeに載ってるとき(SMILE VIDEOサービス開始前)は,たぶんそれで人気なんだろうなと思っていたんですが,いまは本当に減らしたいんですよね。テレビコンテンツを見たいのであればテレビを見ればいいし,Gyaoを見ればいいと思うんですよ。それなら別に僕らがやる必要はないわけで。
 僕らがやろうとしてるのは,ユーザーが作ったものをいじくって,ユーザーが楽しいと思える世界です。テレビってたぶん,出したら100万人が面白いと思えるものを作る場所ですけど,ニコ動って1万人にとって面白いものを100個作れば100万人じゃないか,っていう感覚なんですよ。
 っていうところで,ユーザー同士が他人の作品をいじり合うのも,著作権法的には基本的にアウトなんですけど,ユーザー同士ならアリにすべきだと僕は思っていて,そっちの方向に行きたいっていう。

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 そうですね。放送コンテンツを流したいなら,各コンテンツホルダーさんのところを営業して回るという,まったく別の会社になりますよね。じゃあ,明確な脱法コンテンツについてはシンプルに,基本排除していくと。

ひろゆき氏:
 そう,むしろ邪魔。例えばさっきの,ユーザーにお金を払う話とかも,そんなコンテンツがなければすぐできたんですよ。デメリットばっかりなんで本当に排除したいんですけど,僕がいくらこう言っても,たぶん理解してもらえない。それは,ニコ動をそういう違法コンテンツを見るために使っている人が,やっぱり出ちゃっているためで。

今回一番気になったのはここら辺です。この部分だけを引用すると誤解されそうですが、直接的にはテレビやDVDを丸上げしている人達のことを指していると思います。しかし、アイマスを始めとしてハルヒらきすたのMADも違法コンテンツに含まれるわけで、その後に残るのはボーカロイドのオリジナル曲と東方とぬこ鍋と今日のわんこ鍋くらいでしょうか。そこまで邪魔に含んでしまうと、さすがのニコ動も立ち行かなくなりそうですが。しかし、著作権上取り扱いが微妙な部分については、現状では解決に向けてどうこう動くつもりはなさそうです。基本、見て見ぬ振りの方向で、世間の認識が変わるのを待つしかないのかなぁ。


という訳で、何か逆転ホムーランなアイデアでもないかと期待したけど、やっぱりなくてがっかりというお話しでした。